モノ作りの「新しい視点」

製造現場発 脳みその汗 「モノ作り」の原点は製造現場にあり 機能の無駄切りこそが、新しい「視点」

モノ作りの「新しい視点」

 

製造ラインを川に例えるならば、電気検査は、「川下での基板品質の最終チェックを担当する最後の防波堤」です。

その川下から川上や川中を見上げてみると、特に検査員が目で検査する「目視検査」や不良を排出しやすい「はんだ槽」に多くの疑問を感じていました。「使い手側の欲しいモノ」の中には、「本当に必要だ」と間違いやすい無駄もあるのではないか?と。ITを組み込んだ「検査機」に最低限何をさせれば良いのか?という、機能の無駄切りが「新しい視点」でした。

 

 

出来る事と出来ない事を先ず理解する

 

新しい技術には過度の期待や妄想が付き物です。コンピューターが業務用から家庭用に市場を変えた頃を思い返せば理解しやすいと思います。コンピューターが何でも出来る宝箱のように思われましたが、結局は人間が便利に使えるツールでしかありませんでした。画像検査機も万能ではありません。しかしながら、人間が最終判断するための情報をタイムリーかつリアルに表示するには最適な機械であり、人間の集中力を補うには非常に有効なツールです。

 

 

脳みその汗

 

人と機械の両立、言い換えれば人間(現場作業員)が使えるIT機を目指す。しかし、言うは易し行うは難しでした。数々の試作機で失敗を重ねた結果、作り手側の発想をまずは捨て、基板上の不良を発見する上での、人間の長所短所、機械の長所短所を、現場で徹底的に分析するところから着手しました。

「はんだ槽」管理の難しさや、この情報が基板設計に生かされていない矛盾、従来の画像検査装置の欠点の洗い出し、マウスを扱えない現場作業員への対応などなど、初期段階で問題は山積みされ、出口の見えない日々が半年間続きました。

 

 

壁にぶつかったら現場に戻る

 

SUNZは「壁にぶつかったら現場に戻ること」に徹し、人間が得意とすること、機械が得意とすることを理解する作業を繰り返し、人間がすべき作業と機械がすべき作業を明確にした結果、本当に現場が必要としているモノを開発することができました。それが【SUNZシリーズ】です。SUNZシリーズは研究室で生まれたのではありません。製造現場の声を形にしたわけですが、ただ単に現場の要求する機能を全て搭載した機械でもありません。 【脳みその汗】とは、新しい視点とも言える「使い手側の欲しいモノの中には、実は無駄もある」という視点で要望を形にするプロセスです。言い換えれば、「本当のような嘘を見抜く視点」で現場を観察し、本当に必要な機能に特化したシンプルかつ必要十分な機能を持った画像検査装置を開発した我々の考え方です。

 

 

家電製品のトレーサビリティと不良撲滅対策

 

家電製品の心臓部である電子基板にも、「食の安全」で言われているような、不良が発生した場合の履歴をさかのぼれる情報を提供したいと考えました。SUNZシリーズは、はんだ不良検出機であると同時に「はんだ不良の画像情報」を保存できるため、不良が発生した時のトレーサビリティツールになります。また、この「はんだ不良の画像情報」はそのまま基板設計改善のための資料にもなり、「製造現場と設計現場を結ぶツール」として活用できます。

 

担当者の声

 

大学の研究室や、大手の研究室では決して開発できないもの。それは、もの作りをしている現場で日常的に起こっている諸問題を、現場に足を運んで現場とは別の視点で見極め、今可能な技術とアイデアで解決しようとする本来の「モノ作り」姿勢で開発されるモノであると思います。

便利であっても操作に専門知識を必要としたり、現場の使いやすさを受け付けない高度機能であったりすれば、その製品は現場でいずれ陳腐化してしまいます。

商品寿命が短期サイクル化する製造ラインでは、その現場員達が短期間で新モデルの品質管理を安定的に行えるようにならなければ意味がありません。しかし人間は機械の様には行きません。多くの現場作業員は日々の体調や集中力をいつも同じように調整することは出来ませんし、それが出来る熟練工は現場にそれほど多くはいないのが実情です。

市場での商品サイクルに現場を合わせるには、人間と機械が得意分野を分担しあい補足しあうシステムが絶対必要になります。

また、人間でも機械でも無い“生き物のような「はんだ槽」”を管理しきるには、徹底したデータ取りとその傾向と分析は欠かせない筈です。
しかし、現状は理想とはほど遠い感があります。

これからの製造現場では、熟練工のもつ経験に裏打ちされた技や勘をどのように継承するかがターニングポイントになります。この問題の解決には前述した現場の情報収集と分析、そして人間と機械の両立は欠かせません。

SUNZはこのような現実を数々の現場から学び取り、「はんだ槽」と「電気検査」との狭間に、従来の画像検査装置には無い新しい発想での検査機を作り出しました。